χ(カイ)です
医療従事者として病院に勤務しながら研究を行っています
研究初心者がわかりやすいと思ってもらえるような内容のブログを書いています
今回、臨床に身を置いている医療従事者がはじめに行うことが多い症例研究について
具体的にどのように情報をまとめたらよいか、
特に学会発表などで必要なプレゼン資料をどのように作成したらよいか、
教科書的な情報を踏まえた上で、私自身の経験や考えからまとめてみました
目次
症例研究の構成
皆さん、
症例研究といえば
症例報告という言葉がピンとくるのではないでしょうか
前の記事で示したと思いますが、症例報告は治療過程を示す報告やカンファレンスを示します(前記事参照)
症例研究として学会などで発表する場合、
陥りやすいのが、症例研究の資料ではなく、
症例報告(カンファレンス資料)に落ち着いてしまうことです
症例研究として成り立たせるためには、
以下の構成に沿ってまとめることが必要になります
⓪タイトル
①背景・・・なぜこの研究をするのか
②目的・・・この研究で何を表すのか
③症例紹介・・・どのような症例なのか
④経過・・・今回の研究の流れ
⑤介入前評価・・・介入前の状況
⑥介入方法・・・どのような介入をしたのか
⑦介入後評価(結果)・・・介入後の状況
⑧考察・・・変わったところ、変わらなかったところについて根拠を示しつつ説明
⑨本症例の限界と課題
⑩結論(まとめ)
症例研究の介入がある場合の構成はこのようになります
ここからは各項目に関して説明していきたいと思います
⓪タイトル
まず、最も重要なのがタイトルでしょう
タイトルでどのようなことを言いたいかがすぐにわかることが重要です
また文字数も長すぎるのも伝わりにくいため、短くてインパクトのあるものを考えるようにしましょう
以下に例として、抽象的に示したいと思います
(疾患名)における(介入内容)により(変化したこと)一例
こんな感じですかね
自身が原著論文や学会発表などで目にしたわかりやすいタイトルをマネすることも良いと思います
とにかく、わかりやすくなるよう何度も考えましょう
①背景
ここは最も重要かと思います
この症例研究をどうして行ったかがわかるように示さなくてはなりません
ここではまず、
報告する疾患の一般的な概要や治療内容などを簡単に説明
↓
先行研究では
ここまでのことしか報告されていない
まだ報告されていない
など
これらを1から2スライドで説明します
②目的
①背景の先行研究から、
ここまでしか報告されていない
先行研究でまだ明らかにされていない
こんな部分を
この研究ではこんな新しい試みをしたんですよ
だから報告するんですと
これを1スライドか、①の背景の最期の部分に付け足すかで示すと良いと思います
③症例紹介
症例紹介は詳しく説明しようと思ったらいくらでも説明できると思います
だからこそ文字にすると
とてつもない文字数になってしまいます
だからこそ
今回の研究で報告したい内容と関係ないことは記載する必要はないと思います
例えば、その方の職業や家族構成を気になる人はいると思いますが、
報告したい内容で必要ない場合は必ずしも必要ありません
④経過
この経過の箇所は、
よく見受けられるのが
こんな感じですよね
これよりもここは視覚的にわかりやすくする必要があります
こんな感じでどうですかね
⑤介入前評価、⑥介入方法、⑦介入後評価
ここでは、評価した内容が介入したことによりどう変化したかを示すことになります
介入前評価で示した内容と、介入後評価で示した内容は同様でなければなりません
そして、介入後評価では変化した部分を強調するように表示する必要があります
介入内容に関しては、介入した内容、頻度など詳細にイラストや動画などで示した方が良いでしょう
⑧考察
考察では2つのポイントをおさえることが重要です
ポイント1
新規性、臨床的有用性、この2つをはじめに記載します
ポイント2
症例情報からの考察、関連する先行研究(文献)からの考察
を記載します
ポイント3
仮説の妥当性に対する補足、ケースレポートでは一般化可能性に関する限界点は書かない、臨床的な限界点には意味がある(例:こうすれば良かった 等)
ポイント4
内容ごとの
「見出し」
を書くことが
発表者(著者)とっては考えをまとめやすくなり
読み手にとっては読み取りやすくなります
⑨本研究の意義と展望、限界
新規性、有用性を改めてまとめ、
臨床でどのように役に立つか、注意点など
そして、解決すべき課題など
を記載します
限界に関しては
臨床的に「こうすれば良かった 等」の限界は意味があります
しかし、症例研究の場合、一般化可能性に関する限界点は書かなくても良いと思います
⑩結論
最後に今までの内容を簡単にまとめて記載します
この症例研究で新たに示せたことなどを中心に記載すると良いでしょう
補足:参考にするガイドライン
今までの内容は私が実際に作成する際に考えていることですが、
症例研究を行う際の確認項目とその内容がガイドラインによって具体的に示されています
症例研究を行う際のガイドラインはCARE Checklistというもので、インターネットで検索すると日本語訳されたものがPDFで確認することができます
以下の表は私がPDFを参考に作成したものです
何かしらのかたちで外部に報告する際にはこれを基にもれている部分はないか
確認することは重要だと思います
まとめ
今回、症例研究で学会発表するためにPowerPointで資料作成するために
どのように構成したらよいかをまとめてみました
私自身がここでまとめてみて
次に報告する際にはこのようにしようと思いながらポイントを記載してみました
参考になれば幸いです
こんな感じです
以上!